胃がん
胃がんについて
胃がんは1年間に135,000人が診断される病気です
男性では最も多く、女性では乳がん、大腸がんに次いで多いがんです。
近年胃がんの死亡率は急激に減少しています。これはピロリ菌除菌や胃カメラ検診の普及の効果があると考えられます。
しかし依然として日本の胃がん罹患率、死亡率はともに高く、安心できる病気ではありません。ピロリ菌除菌や胃カメラ検診で予防、早期発見することが重要です。
40代になれば胃カメラ検査を行うのがおすすめです
年齢別罹患率を見ると40代後半以降から急激に増加していることがわかります。
発症リスクを上げる要因
ピロリ菌(H.pylori)
まず萎縮性胃炎(胃粘膜が萎縮し、厚みが薄くなった状態)になり、その後腸上皮化生(胃粘膜が腸の上皮に置き換わる)が起こり、胃がんに進展していくと言われています。
その過程にピロリ菌が大きくかかわっているのです。胃がんにかかった人の胃を調べたところ、ピロリ菌に感染していなかった人はわずか1%もいなかったというデータがあります。つまり胃がんの99%はピロリ菌が関与しているとも言えます。
食塩の過剰摂取
日本人特有の塩分を多く含む食べ物である「味噌汁、漬物、たらこ・いくら、目ざし・塩鮭、塩辛・練りうに」をよく食べる人の方が胃がんの発症率が高くなったという研究データがあります。
特に塩分量の多いいくら、たらこ、塩辛、練りうには明らかに胃がんのリスクが高いです。
喫煙
喫煙は比較的少ない喫煙量でも胃がんのリスクを上昇させます。
胃がんを予防するためには
胃がんを予防するためには減塩・禁煙が重要です。
また検診で胃がんを早期発見、早期治療を行うことも二次予防になります。
胃がん検診には胃カメラによる検診と血液検査による簡易的な検診があります。
症状
初期の胃がんは無症状で検診で見つかることがよくあります
初期の胃がんは症状がないことが多いです。胃の痛みや違和感、胸やけ、吐き気など胃炎、胃潰瘍と同様の症状が現れることもあります。
そのため胃がんは早期発見が重要です。そのため検診を定期的に受診することが大事です。
進行胃がんでは体重減少、心窩部痛、食欲不振などの症状が現れます。
検査
胃がんの発見には胃カメラが有用です。
胃カメラ
胃カメラを行い、病変があるかどうかを確認できます。また病変があればそれをつまんでくることで病理検査を行い胃がんであるかどうか判断します。
当院では吐き気や挿入時のつらさが少ない鼻から挿入する胃カメラ(経鼻内視鏡検査)を行っています。
治療
胃がんは早期に発見できれば、胃カメラを使い内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった方法で胃の内側から切除することができます。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
粘膜の下層に液体を注入しそれより深い部分が傷つかないようにして、粘膜を切除する方法です。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
粘膜の下層に液体を注入し、病変をナイフで徐々に切りはがす方法です。
EMRより広い範囲を切除するのに適しています。
進行胃がんでは外科的手術や化学療法、緩和治療が選択されます。
院長のメッセージ
胃がんは早期に発見できれば、胃カメラを使って、胃の内側から切除することができます。病理診断で、がんが一番表面の粘膜層に限局していれば、転移は非常に少ないことが分かっており、それ以上の治療は必要ありません。手術により胃を失うこともなく早期に元の生活に戻ることができます。入院も1週間程度です。
監修 今井昭人 (日本消化器病学会認定 消化器病専門医)
当院へのアクセス
所在地
〒604-0866
京都市中京区両替町通丸太町下る西方寺町161
交通
地下鉄烏丸線 丸太町駅4番出口より 徒歩3分