食道がん
食道がんについて
食道がんと診断される人数は1年間に10万人あたり17.9人です
食道がんの患者さんは2014年男性31.1人、女性2.7人(2014年)であり、圧倒的に男性の方がかかりやすい病気です。また年齢で見ると50歳代から増加し始め、70歳代でピークを迎えます。
日本の食道がんの罹患率は男性はゆるやかな増加傾向にあり、女性は横ばいです。
近年無症状のうちに胃カメラで発見される例が増えたことや治療技術の向上により生存率は向上していますが、依然としてがんの中では予後がよくない病気です。
同時期にもしくは違う時期に複数の場所にがんが発生すること(重複癌)が約20%もあると言われています。重複するがんは胃がんや咽頭がんが多いです。
90%以上は扁平上皮癌です。バレット食道癌と呼ばれる腺癌は5%以下です。
発症リスクを上げる要因
飲酒と喫煙
喫煙と飲酒の両方の習慣がある人はより危険が高くなり、毎日1.5合以上の飲酒、20本以上の喫煙をしている人における食道がん発生率はお酒を飲まず、タバコも吸わない人の30倍とも言われています。
飲酒
飲酒により体内に生じるアセトアルデヒドは発がん物質であり、アセトアルデヒドを分解する酵素活性が生まれつき弱い人は食道がんのリスクが高いといわれています。アルコールを飲むと顔が赤くなる人は要注意です。特に若い時は酒に弱くすぐ赤くなったけれど「鍛えられているうちに強くなり、赤くならなくなった」という方は非常に危ないです。
喫煙
タバコはタールの中に含まれるベンツピレンという物質がp53遺伝子を不活化することでリスクを上昇させます。またタバコは咽頭、喉頭など食道以外のがんにも大きく関与するので、がんを防ぐという観点ではタバコは吸わないことに越したことはありません。
ビタミンの欠乏
ビタミンの欠乏も発生原因とされ、緑黄色野菜を摂取することで、予防に効果的と言われています。
症状
初期には症状がないことがほとんどです
進行すると飲食時の胸の違和感、飲み込みにくさ、つかえ感、体重減少が出現します。さらに進行すると声が枯れる(嗄声)などの症状をきたします。症状が出始めたころにはすでに進行がんであることが多いです。そのため胃カメラによる早期発見が重要です。
検査
胃カメラで食道に潰瘍、隆起、狭窄があれば食道がんが疑われます。
また早期食道がんはヨード染色で染まらず、またNBI,BLIと呼ばれる特殊光を用いて観察することで、brownish areaというがんが茶色に見えることがわかってきました。
胃カメラ
食道・胃・十二指腸を観察し胃潰瘍、胃癌、逆流性食道炎などの病気を診断する検査です。
当院では吐き気や挿入時のつらさが少ない鼻から挿入する胃カメラ(経鼻内視鏡検査)を行っています。
治療
診断された後、超音波内視鏡やCTなどの画像検査で進行度を診断します。治療はその進行度により大きく変わってきます。
以前は発見が難しかった早期がんが発見できるようになり、開胸が必要な外科手術を避け、低侵襲の内視鏡治療ができるようになってきています。
進行がんの場合は手術や化学放射線療法を行う場合や積極的な治療を行わず、患者さんの症状を和らげるケアに徹する場合があります。
院長のメッセージ
食道がんのリスクが高い人は是非胃カメラを受けてください。食道がんは早期発見が重要です。粘膜にとどまるがんでは胃カメラによって内側からの切除が可能です。粘膜の浅い層までの浸潤であれば、転移のリスクが非常に低いことが分かっており、追加治療は不要です。入院も1週間程度で済みます。
監修 今井昭人 (日本消化器病学会認定 消化器病専門医)
当院へのアクセス
所在地
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